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色を出すアイドルと、色に染まるアイドル―『装苑』から見る2人の推しのはなし

2016年10月28日は はやる気持ちで装苑を買いに出かけたから 装苑記念日

 

伊藤万理華さんが出演している映画『Anniversary』を見に行った。彼女の演技は、個人PVの『ナイフ』くらいでしか見ていなくて、映画や舞台を見るのはこれが初めてだった。しかもトークショー付きの回だった。

だから、そのことも書きたいし、

Hey! Say! JUMPのニューシングル『Fantastic Time』が発売された。表題曲でこんなに踊るHey! Say! JUMPは恐らく『Ride With Me』以来で、先月放送されたMステウルトラフェスでは、その曲にストリングスのアレンジを加えた『Ride With Me -2016-』を披露しており、2015年はゴリゴリのカワイイ「おじゃんぷちゃん」をお茶の間に突き付けた彼らは現在、ガシガシ踊る「Hey! Say! JUMPの皆さん」のモードであることが予想される。そしてこの『Fantastic Time』は、楽曲としての完成度の高さやキャッチーさが申し分ない。

っていうことも書きたいんだけれども、とにかくこの1ヶ月間、先週の金曜日に発売された『装苑』の発売が楽しみでしょうがなかった。

 

Wikipediaによると、『装苑』は「ハイファッション・モード系の女性向けファッション雑誌」とあるが、nicolaの波にも、seventeenの波にも乗れず、初めて手にした雑誌がzipperだった私が、その後、PSやSoup.、SEDA、JILLE、FUDGEなどを経て、青文字系を大いにこじらせて辿りついたのが、装苑やGINZA、そしてSPURあたりの、現実味のないお値段のお洋服がたくさん載っている雑誌であった。今もなお、なんとなく赤文字系になれなくて、オフィスカジュアルも着れなくて、本屋さんのファッション雑誌の売り場では、装苑やGINZAあたりに手が伸びてしまう。着ないんだけど。

その誌面にあるのはどちらかというと街中でのオシャレというよりはアートに近いもので、私の2大推しメンである伊野尾慧さんと伊藤万理華さんを、その雑誌の中で見るのが私の夢だった。

このつぶやきを残したのは1年以上前のことであるが、伊藤万理華さんはその後、ファッション界隈のお仕事が増え、装苑にも何度か登場した。

 

2015年の伊藤万理華さんは、「自分のやりたいお仕事」を、着々と実現させていったようなところがある。彼女のアイドルらしからぬセンスは、アイドルオタクからしたら受け入れ難いところもあるとは思うが、サブカルこじらせアイドルオタクからすれば大好物だし、「いいぞもっとやれ」と思っていた。ただ、2015年の彼女は多少個人仕事で突っ走り過ぎた感があって、アイドルとしての伊藤万理華に迷っていたようだ。そして2016年に入ると、15thシングルでの選抜メンバーから落選。しかし、それを経て何かが吹っ切れたようで、16thシングルでは選抜メンバーにも復帰を果たしている。乃木坂46として歌って踊る伊藤万理華さんは、アイドルらしくてとってもかわいいし、私服は相変わらずアイドルらしくなくて超かわいい。変わらずデザイン雑誌『MdN』での連載は続けているし、今すごく、バランスが取れているような気がする。

 

対して伊野尾慧さんの2015年といえば、ドラマ『戦う!書店ガール』や舞台『カラフト伯父さん』、24時間テレビを経て急激に露出の増えた時期であったし、そのプロモーションを兼ねて雑誌にも多数登場していたが、ファッション誌でいえば『NYLON』を除きほとんどの雑誌は赤文字系であった。それが2016年に入り、再度の『NYLON』への登場、『FINEBOYS』や『MEN'S NON-NO』といった男性誌にも進出している。そして秋口に舞い込んできたのが、『SPUR』と『ELLE girl』という、今までとは毛色の違う女性誌への登場の報せ。これは『装苑』への登場も近いのでは、と全オタクが確信したはずだ。そして、その時は意外にもすぐに訪れ、『SPUR』と『ELLE girl』発売の1か月後、満を持して『装苑』に登場することが発表された。

 

10月28日。出社前にタワーレコードに寄り、予約していた『装苑』を手に入れた。そこにはクリエイターたちに思いっきり遊ばれた2人の推しメンの姿があった。まるで2人とも、コラージュの素材であるかのように。それは、ファッション系のお仕事で見かける、カラフルでどこかキッチュでポップな伊藤万理華さんの姿と、これまでのどんなお仕事とも違う(強いて言うなら『SODA』での遊ばれ具合に近いけれど、それともまた違う)、カラフルでありながらも妖艶な伊野尾慧さんの姿だった。

 

2人は、私が日常的に見ているアイドル界隈においては、このようなクリエイターに遊ばれるお仕事を得意とするアイドルであると思う。ただ、それぞれの魅力を一単語で表すなら、伊藤万理華さんには「個性」を、伊野尾慧さんには「ニュートラル」を、それぞれあてがいたい。

 

まずは伊藤万理華さんの「個性」。

特に2015年のブログでは、自分の好きなものを発信することを中心に据えていた気がする。特にファッションが顕著だが、彼女の世代ではまだ少ないであろう、椎名林檎さんのファンを公言していたり、国立新美術館で行われていたマグリット展をはじめとした展示にもたびたび足を運んでいた。「清楚」を売りにする乃木坂46において、井上小百合さんや齋藤飛鳥さん、橋本奈々未さんの趣味嗜好もなかなかおもしろいものがあるが、パッと見て分かるファッションのトガり具合は、伊藤万理華さんが一番であろう。

そして彼女は、自分の「好き」や「楽しい」を積極的に発信したこともあってか、好きなクリエイターと、楽しいお仕事をする機会が増えている。先日のGirl's Award*1では、ファッション関連でのお仕事では見たことがなかったような、ふわふわとした女の子らしい素材のファッションで登場したのも新鮮だったけれど、やはり圧倒的に多いのは、『装苑』などに見られる伊藤万理華さんの好きな方向のお仕事だ。最初に連載が始まったファッション誌はかつて古着が好きな女の子が読む雑誌として、Zipperと双璧をなしていた『CUTiE』だったし、デザイン雑誌『MdN』でもクリエイターと対談をする連載を持っている。それらはやはり、彼女が自分の「好き」を発信したことで「個性」となり、その個性に、いろいろなお仕事がついてきているのだと思う。

先日の『Anniversary』でのトークショーでも、現場にいることが「楽しい」と発言していたし、そのような楽しいお仕事をできているのは、オタク冥利に尽きる。「クリエイターと意見を出し合いながら、何かを作りあげたい」というのも、そのときの彼女の言葉。個性で仕事を取り、自分の色を出していく、そんな伊藤万理華さんは最高のアイドルだ。

 

そして伊野尾慧さんの「ニュートラル」。

明治大学理工学部建築学科卒、ジャニーズ初の理系アイドルであり、前髪を下ろすと*2小動物のようなかわいらしい顔なのに、口の悪さは随一。華奢で色白で、中性的なのに、好きな食べ物は「白いごはん」だし、おいしいものが食べられると思って芸能界に入った、それだけで十分個性と言えるのかもしれないが、伊野尾慧さんの口から発された、食べ物以外でどうしようもなく好きなものの話を、「水曜どうでしょう」と大学で学んできた「建築」以外あまり知らない。お洋服にだってここ1年ほどで気を使い始めたけれど、さほど好きというわけでもなさそうだし、音楽だって、YouTubeを放浪していいなと思った邦楽を聞いていそうな感じがするし、大して掘っている様子はなさそうだ。伊藤万理華さんと比べると、圧倒的に「好き」が出てこない。

けれども、伊野尾慧さんは舞い込む仕事に対して全て「楽しい」と言う。雑誌のお仕事に関しても、アイドル誌から女性誌、男性誌、そして女性誌の中でもハイブランドを着る機会も増えてきたここ最近。それも「新たな自分を見つけられることが楽しい」と話している。

それでいて、どの雑誌にだってすっと馴染んで、とても画になる。メンバーの中島裕翔さんも「いのちゃんは雰囲気を作るのが上手い」と言っていたし、クリエイターが、雑誌が、各メディアが求める色を出すのが上手いのだろうと思う。舞い込む仕事に対して、ニュートラルに構えて染まることができる、そんな伊野尾慧さんもまた、最高のアイドルだ。

 

もちろん乃木坂46だってみんなかわいいし、Hey! Say! JUMPもみんなかわいいし9人だからこそのダンスも大好きだし、他のグループにだって推しメンがいるのだけれど、やっぱり2016年現在、私がどうしようもなく推したいのはこの2人に変わりなくて、その2人に舞い込む雑誌のお仕事はどれも最高で、そんな2人を一度に、大好きな雑誌で見られるという、このたびの『装苑』は私にとって夢のようなお話だということ。

80周年記念号ということもあり、多分、絶対、日本国民に聞いたら1人は自分の好きな人が載っているのではないでしょうか。そんな『装苑』2016年12月号は現在発売中です。私は2冊購入したので、これからしばらくは、飲み会に持参して友人各位にお見せします。

soen.tokyo

*1:乃木坂46伊藤万理華、萌え袖でモテオーラ全開 初ランウェイに歓声響く<GirlsAward 2016 A/W> - モデルプレス

*2:前髪をあげて眉毛が見えると、とたんに男性的になるのもまた趣深い。