かけるかな

茶の間からポエム

赤黄色の金木犀

朝晩がだいぶ涼しくなった。夏が終わった。
今日、職場のラジオから聞こえてきたのはフジファブリックの「赤黄色の金木犀」。

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リリースは2004年。私が中学3年生のときだった。秋が来ると毎年のように聞いているけれど、思えばもう13年も前の曲らしい。

 

中学生のころ、友達からBUMP OF CHICKENを教えてもらって、そこから芋づる式に日本のバンド界隈にハマっていった。くるりが「ロックンロール」を出したころ、ASIAN KUNG-FU GENERATION「サイレン」を出したころ。

当時の私は勉強机で勉強をするのが苦手だったから、宿題も、テスト勉強も、受験勉強も、全部茶の間でテレビをつけたまま、やっていた。実家は祖父の趣味でスカパーを契約していたから、スペースシャワーTVばかり見るようになった。ゴゴイチ!とか、STUDIO GROWNとか、熱血!スペシャ中学とか。

 

フジファブリックはそんなふうに過ごしていたときに知ったバンドだった。
「陽炎」がスペシャのPOWER PUSH!に選ばれて、毎日流れていたけれど、変な曲だなあと思って特に気に留めなかったバンドだ。それが、「赤黄色の金木犀」を初めて聞いたとき、手を止めてMVに見入ってしまったのを覚えている。それからしばらくして出た1stアルバムはもちろん買った。地元でいちばん大きなTSUTAYAでインディーズ時代の「アラカルト」「アラモード」や、限定生産盤だった「アラモルト」を借りて、当時出ていた音源はほとんど集めた。

 

大好きなバンドだった。

高校に上がる直前の冬には「銀河」というキャッチーな曲が出たから、高校の友達にはたくさん聞かせた。迷惑だったかもしれない。

 

はじめてライブハウスへ行ったのもフジファブリックだった。ドキドキしながら電話をかけてチケットを取った。ドリンク代がどういうものなのかわからなくて調べた。500円出して引き換えたドリンクチケットは、500mlの水のペットボトルになった。学校の教室よりも小さなライブハウスで、前から3列目とか4列目とか。モッシュなんて知らなかったし、開演と同時に人がぎゅうぎゅう詰めになってびっくりした。でも、楽しかったな。

 

自分の好きなものは変わるし、バンドの音楽性だって変わっていく。

いつの間にかあんまり聞かなくなって、ほかに好きなバンドがたくさん増えた。

でも、「赤黄色の金木犀」は大好きで、秋が来るたびに聞いていた。

 

私が彼らのことを再び強く意識したのは、大学2年生の冬、ボーカルの志村正彦の訃報を聞いたときだった。ちょうどその知らせが入ったときは、翌日行われるサークルのイベントに向けた打ち合わせをしていたのだけど、結局その夜は一睡もできないまま、ずっとインターネットに張り付いていたのを覚えている。イベントが終わるまでは気が張っていたから、それが終わってからぷつんと糸が切れたように、もともと入れていた友達との予定もキャンセルして、引きこもった。

 

最高潮に好きだったあのころほどの熱量はないとしても、そのとき、ほかに好きなものがたくさんあったとしても、相当ショックを受けていて、相当悲しくて、相当へこんだ。好きだったものがなくなってしまうのは、こんなにもしんどいのか、と知った。

 

バンドだってアイドルだって、解散も脱退もないものなんて滅多にない。

人間がやっていることだから、いつも当たり前のように見ているものが、何らかの形で、突然当たり前でなくなることなんてザラだ。一途にひとつのものに熱を上げられず、日ごとに「好き」が増えていく私のこの習性は、生まれつきのものでもあるけれど、ある意味リスク回避にもなっていて、そのおかげで好きなものが一つ、止まったり、なくなったり、形が変わったりしても、そこまで日常に支障をきたさずに生活できている。

 

昨日、職場の後輩に「好きなものがたくさんあって、毎日が楽しそうでいいですね」と言われた。フジファブリックのことを思い出しながら、この話をした。今日ラジオから聞こえてきたフジファブリックの「赤黄色の金木犀」は、13年前と変わらず素晴らしくて、この曲を聞くと相変わらず感傷的になってしまって、アイドルの話もしないでこんなポエムを書いてしまった。